太陽と雪
机の上には、書きかけの中絶同意書が見つかった。

奈留ちゃん本人が身体に異変を感じた日から書いたとみられる日記。

さらに、妊娠検査薬の空箱まで見つかった。


日記には、女の子の日が遅れていることから、葦田 雅志に迷惑は掛けたくないことが書かれてあった。



それなのに、最後のページには、子供の名前候補まであった。


何よコレ……


矛盾してるじゃない……



「ね、矢吹……
何とか出来ない?
葦田 雅志。

迷ってるみたいなのよ。

自分の両親が医師をしている病院を継ぐべきか。

そのためには、医師免許も必要だから時間もかかる。

だけど、彼には奈留ちゃんと動物病院を開業するっていう夢があるみたいだし」



「……どうされますか?

彩お嬢様。

旦那様にお願いして、葦田様のご家族の病院を北村動物病院に移すことも出来ますが……」


「矢吹。そんなことはしないでいいのよ?

………私はただ、2人にも、葦田 雅志の両親にも幸せになってほしいだけ!」



「かしこまりました。

では私は、その線で動きますゆえ、少々お時間を要します。

一度、私達は別荘に戻りましょう」



矢吹の提案で、別荘に戻ることにした。

「やることがあるので彩お嬢様はお休みくださいませ。

まだ生理期間中で本調子じゃないのでしょう、睡眠は大切ですよ」

矢吹に優しくそう言われ、しぶしぶ眠ることにした。



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