太陽と雪
「麗眞坊っちゃま?
どうなさいました?」
「相沢……」
部屋に戻ると、俺の執事である相沢がいた。
「何かございましたか?
麗眞坊ちゃま。
旦那さまに、気に障ることでも言われたのですか。
顔が暗いですよ。
いつもの坊ちゃまらしくありません」
「相沢、ってさ。
叶わない恋って、したことある?」
俺の問いに、意外な言葉を返してきた。
「ございますよ。
間接的には、現在進行形で叶わない恋をしておりますから」
ん?
現在進行系?
どういうこと?
俺の脳内は、クエスチョンマークだらけだ。
「色恋沙汰には聡い麗眞坊ちゃまですから、気付いておられると思っておりました」
相沢は、昔話を俺に話してくれた。
実は相沢は両親に望まれないまま産まれた子供だった。
両親には虐待され、何度も相沢1人だけで警察のお巡りさんのところに行ったという。
小学生に上がる歳に、虐待容疑で両親は逮捕された。
祖父母も亡くなっていて、当てはなかった。
相沢は児童養護施設へ保護され、そのまま預けられたという。
中学生になった時、施設のスタッフの過干渉と過保護振りに嫌気がさし、夜に施設を抜け出したことがあった。
お金もない中学生の行き先など、たかが知れていて、近所の公園だった。
その際、その公園で母の過干渉がうっとおしく、「お前なんかいなくていい」と言われて家を出た小学生の女の子と会った。
夜な夜な家を抜け出して、その子と話をするようになったという。
相沢に、手作りのお守りをくれたその女の子。
相沢は、懐かしそうに呟いた。
「自分も同じものを持っているから、あげる。
寂しいって思ったら、このお守り見て、わたしのこと、思い出して」
その時初めて、人に何かを貰って、とても嬉しかったのが今でも印象深いです。
恥ずかしながら、人生初めての恋だったと自覚しております」
手先は器用だったというその子は。
家でもずっと独りぼっちだったため、それくらいしかやることがなかったのだ、と照れたように笑ったのだという。
「いつか、必ずこのお礼は致します。
僕にとってのお嬢様。
いつか、迎えにいきます。
それまで、待っていてくれますか?」
「もちろん。
約束ね!
忘れないから!
ちゃんと迎えにきてくれたら、わたしのお婿さんにしてあげる!
そしたら、ずーっと一緒にいられるよ」
「そうですね。
ずーっと一緒にいたいです。
約束ですよ」
そう言って、子供らしく小指を絡めたという。
そんなこと、あったの?
子供らしいエピソードだ。
どうなさいました?」
「相沢……」
部屋に戻ると、俺の執事である相沢がいた。
「何かございましたか?
麗眞坊ちゃま。
旦那さまに、気に障ることでも言われたのですか。
顔が暗いですよ。
いつもの坊ちゃまらしくありません」
「相沢、ってさ。
叶わない恋って、したことある?」
俺の問いに、意外な言葉を返してきた。
「ございますよ。
間接的には、現在進行形で叶わない恋をしておりますから」
ん?
現在進行系?
どういうこと?
俺の脳内は、クエスチョンマークだらけだ。
「色恋沙汰には聡い麗眞坊ちゃまですから、気付いておられると思っておりました」
相沢は、昔話を俺に話してくれた。
実は相沢は両親に望まれないまま産まれた子供だった。
両親には虐待され、何度も相沢1人だけで警察のお巡りさんのところに行ったという。
小学生に上がる歳に、虐待容疑で両親は逮捕された。
祖父母も亡くなっていて、当てはなかった。
相沢は児童養護施設へ保護され、そのまま預けられたという。
中学生になった時、施設のスタッフの過干渉と過保護振りに嫌気がさし、夜に施設を抜け出したことがあった。
お金もない中学生の行き先など、たかが知れていて、近所の公園だった。
その際、その公園で母の過干渉がうっとおしく、「お前なんかいなくていい」と言われて家を出た小学生の女の子と会った。
夜な夜な家を抜け出して、その子と話をするようになったという。
相沢に、手作りのお守りをくれたその女の子。
相沢は、懐かしそうに呟いた。
「自分も同じものを持っているから、あげる。
寂しいって思ったら、このお守り見て、わたしのこと、思い出して」
その時初めて、人に何かを貰って、とても嬉しかったのが今でも印象深いです。
恥ずかしながら、人生初めての恋だったと自覚しております」
手先は器用だったというその子は。
家でもずっと独りぼっちだったため、それくらいしかやることがなかったのだ、と照れたように笑ったのだという。
「いつか、必ずこのお礼は致します。
僕にとってのお嬢様。
いつか、迎えにいきます。
それまで、待っていてくれますか?」
「もちろん。
約束ね!
忘れないから!
ちゃんと迎えにきてくれたら、わたしのお婿さんにしてあげる!
そしたら、ずーっと一緒にいられるよ」
「そうですね。
ずーっと一緒にいたいです。
約束ですよ」
そう言って、子供らしく小指を絡めたという。
そんなこと、あったの?
子供らしいエピソードだ。