太陽と雪
まだ俺と椎菜が高校生だった頃に雑貨屋の商品のの山からあーだこーだ言いながら、2人で選んだノート。

シンプルだが、日付や天気と文字を書く欄がたくさん合って続けやすそうだったからだ。

書くことに困ったとき用に質問があるタイプもあった。

しかし、幼少期から幼馴染のように、いつも一緒に過ごして来た俺と椎菜の仲では不要だと考えた。

『今日は結納と婚約会見!

どちらも、とっても緊張したけれど。

麗眞やお義父さん、お義母さん、お姉さんも気を回してくれて、沢山話題を振っていただき、自分らしく過ごせた楽しい会でした。

婚約会見も、何を聞かれるんだろうと思っていたけれど、終始質問は旦那が答えてくれました。

唯一、『1つだけ次期当主である麗眞さんの魅力を挙げるなら?』というのだけは私が答えました。

『昔から、私しか見ていないように周囲からは誤解されます。

でも、私以外の周囲の人がいかにHAPPYに日々を過ごせるかを常に考えてくれるところに惹かれました』

そう答えました。

それは、高校の頃から変わっていなかったから。

昔行ったグアムの時も、優作さんと華恵さんがどうしたらリラックスして過ごせるかを優先してくれてたよね。

常に周りを見ている麗眞だからこそ出来ることだと思う!

そこは私と麗眞の子供にも遺伝してほしいなぁ!

その辺りも、せっかく籍入れたんだし、意見を擦り合わせていきたいな!

ちょっと疲れたから、早めに寝ます!
おやすみなさい!』

そのページの余白に、数行だけれど書き記す。

『椎菜

俺と同じ苗字になってくれて、本当にありがとう。

こんなに嬉しいことはないよ。

困ったこととか相談があったら、いつでも言ってな。

俺に言いづらかったら、姉さんやおふくろでもいいし。

遠慮しないでな。

壁にぶつかったら話し合いながら、2人でやっていこうな』

書き終えたところで、ノートを綴ると、何かの紙がそれからはらり、と落ちた。

何だ?これ……

『挙式時期

新しい年になってからは皆忙しいそう。

特に理名や拓実くん、深月と秋山くんは特に。

でも、年度終わりと年度初めは琥珀と巽くんが忙しいかな?

時期に悩む……

サプライズで深月と秋山くんの挙式もやるから、早いほうがいいよね、きっと……

挙式場所

数ヶ月前は新婚旅行兼ねて海外がいいと言ったけれど。

理名や拓実くん達の医療従事者の事情考えると、日本国内の方が良いな、と思う。

場所はこれからいろいろ話し合いながら見ていくといいかな。

経験者の美冬と小野寺くんにも聞いてみよう。

それと経験豊富な華恋にも!』

メモには、椎菜の綺麗な字が所狭しと書きつけられていた。

いつの間に、こんなの考えてたの?

いつの間に、こんなの書いてたの?

既にすやすやと寝息を立てている椎菜の頭をそっと撫でて、ある人にメールを送る。

送信が完了すると、俺も彼女のベッドの横に潜り込んだ。
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