ワカラナイ。
始まりの朝
「お前、俺のこと好きになれよ」



そうあたしに言う若い男の人は、どこか悲しそうな顔をしていた。
あたしは、その理由を知っている。

でも、好きになったら、終わり。
全てが終わってしまうの。
だから、君のことを好きになりたくなかった。

でも…。
君の優しい腕に抱かれたら、もう止められなくて。
好きという気持ちが止められなくて。

時間がこのまま止まればいいのに―。





ああ、神様は意地悪だ。
なんで、君のペアがあたしなの?
ペア同士は愛し合っちゃ、駄目なんでしょ?







この世界の「始まりの本」には、こう書いてあった。

“ペア同士が愛しあった瞬間、この世界と人間界は滅びる”
“滅びたこの世界は修復可能でも、人間界は修復不可能である”




あたしは、ずっと前から君のことが好きだよ。
そう言ったら、世界は滅びるの。
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