恋人という名のゲーム
2.
髪が邪魔になってシュシュでまとめてから、入荷したばかりのマグカップにポップをつけていると、恵利さんが裏から顔をのぞかせた。


「美咲ちゃん、なんか疲れてる?」

「すみません、昨日友達に飲み会連れてかれて」

疲れてるのは体調的なものじゃなく、精神的なことのせいだけど。


「ごめんねー、いつも任せちゃって」

「いえ、好きでやってるんで。それに恵利さんも裏で大変なんですから」


店長の恵利さんは店の奥でアクセサリー教室を開いている。それがなければ私を雇う必要もないし、それがなければ私の給料は払えないと思う。

恵利さんがこの店『Blue Rose』を始めたときから、感謝してもしきれない。
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