恋人という名のゲーム
「美咲ちゃんには感謝してるんだよ。うちじゃ残業代ほとんど出せないし、それなのにいろいろしてくれて。だから、たまには早く帰りなよ。これは明日でいいから」

「…じゃあ、お言葉に甘えて。お先に失礼します」

本当に疲れていたし、恵利さんの好意に甘えることにする。



「あ、美咲ちゃん。さっき気づいたんだけど、髪、あげないほうがいいと思う」

控えめな恵利さんの申告に首を傾げると、恵利さんは自分の首の後ろを指さした。

「美咲ちゃんの首、…キスマークついてる」

「え!?」

私は慌てて自分の首をおさえ、シュシュを外した。身に覚えがない、と思ってから一人の顔が浮かんだ。たぶん、それ以外ありえない。


「お疲れさまでした。たまには早く帰りなさい」

私の反応に苦笑しつつ、恵利さんが私をバッグヤードに押し出した。裏でエプロンを外してバッグを取ったとき、携帯が鳴りだした。表示されたのは番号だけで、誰だろうと不思議に思いながら出た。
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