十三日間
幾度目の仕事の時だっただろう。

一流企業の社員として働きながら、それは隠れ蓑に過ぎなかった俺。
実際は、連中からの指図があれば、何でもこなした。
たいていは企業にまつわるスパイ活動が主だ。
一流企業に勤めていると、それなりのコネがあちこちに出来る。
連中だってその手のものは勿論持っているのだが、表だって動くのは何かとヤバイ。
そのために、俺のように手先になって仕える人材が必要なのだ。

…いざとなれば、いつだって切り捨てられる、使い捨てが。

教育の時だって、そうだった。
使えないとなれば、最悪は排除される。
そうでなくても、教育内容についていけなくなると、すぐに切り捨てられ、他のところにまわされる。
徹底的に、能力だけを見て、利用するためだけに教育をされ続けていた。

個人としてなど見られたことがない。
道具として、鍛えられて来ただけだ。

だが、俺はそこを勝ち抜いてきた。

連中にとって、俺は使い捨てにするには惜しい人材になっている筈だ。

…まぁ、そうとも言い切れないが。

シュウほどの優秀な人材だって、連中にとって使い勝手が悪いとなれば、あっさり排除するくらいだからな。

だが、とりあえずは俺はかなり連中にとって、重要だと思われる仕事を任されることが多くなっていた。
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