十三日間
3人が帰った後、しばらく僕は元気を取り戻していた。
みくるちゃんと、日曜日にどこに行こうか……。
そんな事まで考えて。

でも、夜が近づくに連れて、僕はやはり恐怖に怯えるようになっていったんだ。

僕を心配して、早く帰ってきた兄さんに、僕は、夢の恐怖をうち明けてみた。

夢の内容も全て話し、僕は兄さんに言った。

――今日、眠るのが、こわい、と。

兄さんは、腕組みしてしばらく悩んでいたけど、頭を振ると
「俺は、占い師とか夢判断師とかじゃないから、わかんねぇや」
と言う。

「…今日、俺この部屋で寝てやるよ」
兄さんはそう言うと、自分の部屋から布団を持ってくると、空いてるスペースに勝手に敷く。
「おまえがうなされだしたら、すぐ起こしてやるから」
そう言ってくれた。

うん、ありがとう、兄さん!

ほんとに嬉しかった。

今までは、うなされて、最後に起きていた。
でも、もし僕の様子を見た兄さんが、途中で起こしてくれたら…。
夢も途中で終わってくれるかもしれない。

僕の胸に、希望が湧いてきた。

それから、ラベンダーの小瓶を取り出し、僕は中身を全部ぶちまけた。

ベッドだけじゃなく、床にも、壁にも。

そうして、ようやくベッドに入った。

「少しでもうなされたら、絶対に起こしてね!」

何度も兄さんに念を押して、僕は、眠りについた…………


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