十三日間
十三日目 「俺」
「絶対、だよ…」

俺は、自分の呟く声で目を覚ました。

また、あの夢を見ていた。

幸せな人生を送る俺の夢。

俺が決して得られないものの全て。

甘い香りは、今日はいつまでも漂っていた。
胸一杯に香りを吸い込む。

昼前に呼ばれるまで、食い物は出てこない。

空腹を感じるたびに、俺はその甘い香りを胸一杯に吸い込んだ。
幸せな感覚が、空腹感を忘れさせてくれる。

空腹で逝きたくない。

その願いは、ラベンダーの香りのおかげで叶いそうだ。

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