十三日間
「今日もうなされてたなぁ。だが、時々楽しそうに笑ってたぞ」
また、隣のじぃさんが話しかけてくる。

やっぱり俺は、夢の中で楽しかったらしい。
夢を見て笑うなんて、今まで一度もなかった。
何で今更そんな楽しい夢を観ているんだろう?

俺は起きあがり、また冷たい壁にもたれかかった。

今日でもう三日目。
この狭い監獄での生活にも慣れてきた。
時々隣のじぃさんが話しかけてくる以外、いたって静かな日々。
出来ることは、考える事だけ。

今まで、日々が緊張の連続で、こんなにひとところにじっとしている事も、為すべき事について考える以外で、自分の事を考えるのも初めてだ。

幼かった頃、どうやって生き延びるかだけを考えていたのとも違う。

…今の俺には未来はないのだから。


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