十三日間
十三段.

これで、終わりだ。


俺は、長い長い、夢を見ていた。
俺が望んで、決して得られなかった全て。
その全てを手に入れ、それを当たり前として生きる人生。

夢の中で、俺は俺自身としてではなく、「僕」として、最高に幸せな人生を送っていた。

それでも、自分をごまかしきれなかったのだろう。
夢の中で、さらに俺は俺自身の夢を見た。

そして、やはりこの階段に、絞首台に恐怖していた。

――だが、それも、もう終わる。

そこの輪に、この首を突っ込めば全てが終わる。


俺は、最期だというのに、不思議ともう恐くはなかった。

もう一つの、幸せな人生をおくれたから。

最期に登った、この十三段の階段の間に。
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