十三日間
物心ついた時、俺は独りきりだった。
家族はいない。
だが、物心つくくらいまで大きくなれたからには、俺を育ててくれた誰かがいたのだろう。
ただ、それはおそらく肉親じゃない。
少し大きくなってから、俺は幾度も、うち捨てられた赤ん坊を、何気なく拾って、当たり前のように育てる人々を見かけた。
自分で動けるようになると、また、当たり前のように捨てられる。
そして、それから先は自分で生きていく。

…俺のように。

おそらく俺も、そうやって育ったのだろう。
名前も顔も知らないその「誰か」に、俺は感謝している。
とにもかくにも、俺は生きている。

それが全てだ。

生き延びるために、どんな事でもやった。
そして、同じようなガキどもが集まって、徒党を組み、派閥を作り、争っているのを見ていた。

…そう、俺はどこにも属さず、独りで生きてきた。

どんなグループを作ろうと、その中で裏切りは必ず存在する。
裏切られるのも、裏切るのも性に合わない。
なら、裏切りが介在する余地のない生活をすればいい。

だから、俺は独りを選んだ。

仲間の為、仲間の分も…とやっていれば、食い物を得るのは至難の業になっていく。
独り分なら、何とかなるもんだ。
俺は、周りの予想に反して、何とか生き延び続けた。



< 38 / 267 >

この作品をシェア

pagetop