十三日間
「…おはよう…」

かなり投げやりな口調で、僕は母さんに挨拶する。
母さんは心配そうな顔をしていたものの、あえて何も聞かないでくれた。
聞かれたって、僕にも訳が判らないのだから、答えようがない。
心配してくれてるのは、その表情からもよく判るのに、黙っていてくれてる。

母さんの態度は有難かった。

いつもより熱いお湯にして、頭からシャワーを浴び続ける。
頭がゆだるくらいになる頃には、大分落ち着いてきた。

次に僕が考えたのは、大木みくるに今朝の事を言うかどうか、だった。

せっかく昨日の朝、ラベンダーの効果があったって話して喜びあったところだったのに、今朝はだめだった……なんて、映画の話もしづらくなっちゃう。

今朝は、聞かれたら、昨日と同じだったって言うことにしよう。
聞かれなかったら、黙っていよう。


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