十三日間
学校に着く頃には、笑顔でいられるようにしようと思っていたのに、その前に秀悟には逢ってしまった。

案の定、目ざとく僕の様子に気づく。
「…まさか、また夢見が悪いとか言わないよな?」
からかい口調で言われたものの、僕には軽くかわす余裕はなかった。
「しょうがないじゃん、僕にだってどうしようもない」
投げやりに答えると、秀悟はちょっととまどったようだ。
「だっておまえ、大木に貰ったヤツで良くなったって言ってなかったか?」
「昨日の朝はね」
「昨日の夜は使わなかったのか?」
「使ったよ!」
思わず口調が荒くなる。

…八つ当たりだ、これじゃ。

「…ごめん。僕だって困ってるんだ。大木には黙っててくれよな」
ぼそぼそっと呟くと、秀悟も小さく「判った」とだけ答えた。

「ところでさっ」

気まずいムードのままでいたくなかったので、なるべく明るい口調に切り替える。
「昨日、映画の候補をいくつかピックアップしたんだけどさ、女の子誘うのにやばそうなのはないよな、これ?」

カバンの中から、映画をリストアップしたものを取り出す。
歩きながらざっと見た秀悟は
「うむ。大丈夫なようだな」
と、おごそかに太鼓判を押してくれた。

…何のキャラのつもりだったんだ?

とりあえず、OKが出たので、昼休みの話題はこれでOKだな!

…何か僕、最近作戦ヤローだなぁ…

もっとスムーズに話を自然にすすめていけないもんかな?

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