囚われジョーカー【完】
まあ、理由なしにそんなことしてるんじゃなく。゙頼まれでである。
「すみれー。」
と。
私の名を呼ぶ、少し掠れた声が鼓膜を叩いた。声の主に視線を送れば、その人は片手を上げて見せた。
「…おはようございます店長。」
「他人行儀だな、おい。」
「他人ですからね。」
暫くの沈黙。ちらりと見上げて、その行動が失敗だったとすぐに後悔。店長は悲しそうな瞳で私をじーっと見下ろしていた。
…面倒くさいな。
はあっと溜息を吐き出して、私は呆れ顔を張り付けながらも呟く。
「おはよう叔父さん。」