囚われジョーカー【完】
――――あれから、時間は経って。
私と三浦さんは堕ちるところまで堕ちた。もう離れなきゃいけないところまで来たのだ。
過去を思い出せば、後悔なんてやっぱり数え切れなくて。
車に乗ることをもっと躊躇えば良かった。
ご飯に誘われても断れば良かった。
そして―――――――――――…
「御馳走様でした。」
「いーえ。」
何度目かの食事を御馳走になり、アパートまで送ってもらった私は。
運転席でハンドルに腕を乗せ、お決まりの煙草を吸う三浦さんにお礼を告げ車をおりようとした。
―――何時もなら、車を降りて、それで終わりの筈だった。
だがその日は何故か三浦さんが助手席のドアにロックをかけ、密室を作り上げたのだ。
一気に空気が凍る。
「菫。」
「……、」
「菫。」
「………何ですか。」
「俺ん家、来ませんか?」
断らなかった私が馬鹿だ。