囚われジョーカー【完】
照れたように笑った清水くんは、また一口カツサンドにかじりつく。
私は手に包むように持っていた微糖のコーヒー缶のプルタブを開ける。プシュっと小気味良い音と共に香ばしい香りが届く。
「あ、俺も飲み物買ってくればよかったー。」
そう言い、私のコーヒーをガン見して来る清水くん。まだ口は付けていない。
てか、よくカツサンドを飲み物なしで食べれるな。
「…いる?」
「っえ!?うん、いや、えーと…、」
そう小声で問いかければ、明らかに動揺して狼狽える清水くんにちょっと笑ってしまう。
まだ飲んでないよ、と笑う私に返ってくる清水くんの笑顔はいつも通り明るく屈託ない。
と。
清水くんは私の手元を覗き、首を傾げる。
「そう言えばさ、篠宮の昼飯は?」
「あー…、食欲なくて。」
「食べなきゃ元気でないよ。だから篠宮、細いんだよ。」
「…それは今関係ないと思うんだけどな。」