囚われジョーカー【完】




私の口から出るのは曖昧なものばかりで、ハッキリとその答えを言うことはない。


…だって、三浦さんとの関係を知られてしまうことは絶対に駄目。

もし私が言ったことで彼の仕事や人生に差し支えが出ればもう私は彼の傍にいられない。



元々、私達がしていることは認められないことなんだから。



そう、依存してるのは、私だけ――――。



「……違うんです、明日香さん。」

「うん?」

「一昨日、一緒にいた人は彼氏じゃなくて。ただの知り合いなんです。」

「そうなんだ?」


怪しまれていないかな、チラリと盗み見た明日香さんの顔は少し驚いている様子だったけど不審がってはいないみたいだ。




良かった、と息を吐き出した私をもう一人。同期の彼がじっと見ていたことを私は気が付かなかった。





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