囚われジョーカー【完】
「そう言えばさー…。」
と。
明日香さんが含み笑いを浮かべた顔で、私に向かって話しかけてくるから持っていたサンドイッチをお皿に置いた。
何ですか?と伝えるように首を傾げた私に明日香さんはふふっと笑い。
「一昨日の人、彼氏?」
「え?…………ッ、」
一瞬、明日香さんの問いかけてきた質問の意味が本当に分からなかった。でもそれは、時を遡れば簡単に理解できること。
「え、何の話?」と私と明日香さんを交互に見る清水くんはどうやら知らない様子。
ほっとしたのも束の間、明日香さんはクスクスと艶やかに笑って見せる。
「ね、だーれ?」
「…ッあ、えと…」
「んー?」
見られていたのか、何て馬鹿をしてしまったんだ。バイト先に例え三浦さんが迎えに来ても断るべきだったのに。