。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「奈央」

新婚旅行。

場所は沖縄。

本当は、海外でも良かった。

けど、日本を離れたくなかった。

なんか、外国の空と日本の空は繋がっていな

い気がして。

光輝クンと、同じ空の下にいたかった。

「…好きだよ」

…大人になったからかな。

少し、キスの時間が多くなった気がする。

その舜クンの唇から…

舜クンの好きって気持ちの全てを、あたしに

移して。

あたしの心を満たして。

けど…

あたしの唇から、あたしが光輝クンが好きっ

て気持ちが、伝わらないようにして。

心の奥。

いや、奥の奥の片隅にある、光輝クンの声、

ボイスを…あたしから取り除いて。

あたしは、光輝クンのボイスが忘れられなく

て。

光輝クンの、その片隅から…

光輝クンのボイスが聞こえて。

そのボイスが、あたしの心を、光輝クンのカ

ラーにするんだ。

あたしの心が…光輝クン色に、完全に染まっ

てしまう前に…

どうか、舜クンの色で、あたしの心を染めて

ほしい。

満たしてほしいよ。

そしていつか…

光輝クンのボイスを聞いても、笑っていられ

るようにして。



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