。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「ありがとうございましたっ」

運動部らしく、元気に挨拶。

「お疲れさまでした~」

さっと制服に着替えて、髪をおろす。

…髪おろすの、癖だな。

縛るの、めんどくさい。

いいや、そのままで!!

「あっ、秋山クンッ」

「秋山さん。お疲れ」

にこっと笑った、秋山クン。

…いつも、笑顔だよね。

「秋山クン、今までなにやってたの?」

秋山クンって、部活入ってないと思うし、な

にやってたんだろうって…

「う~ん…図書室で勉強?」

「図書室?」

「そっ。俺、旧館の図書室が好きで、いつも

あそこで勉強ってか…寝てる」

最後だけ少し恥ずかしそうに、照れながら言

ってた。

…確かに、髪の毛はねてる。

「ここ…はねてるよ」

そっと、秋山クンの髪に触れる。

「えっ…嘘っ」

「直してあげるよ」

スクバから、髪を直す用のセットを出す。

「髪、いつもきれいに直してあるよね」

「あ~、妹がうっさいから」

「妹いるんだ~」

なんて、話ながらドキドキするあたし。

「はいっ、大丈夫だよ」

「じゃあ、俺も…」

「えっ?」

「俺、妹の髪縛ってるんだ。毎朝ね」

「へ~」

「髪、直してもらった代わりに、髪縛らせて

くれる?…まぁ、髪おろしてるのも、新鮮で

可愛いからいいけど」

また、顔を赤くして…言った。

照れないでよ。

なんか、あたしが照れる。

「俺、3パターン見ちゃった」

「なにを?」

「秋山さんの髪。ポニーテール、ツインテー

ル、おろしてるの」

「あっ、そういうこと~」

秋山クンの細い手が、あたしの髪を撫でて、

にこっと笑う。

…………やっぱ、ドキドキするよね。

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