。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-微妙な距離感から-

………好き。

「ねぇ、梨那〜」

「ん?」

「恋って、どんな感じ?」

「う〜ん…やっぱ、その人がいないと寂しく

なったりとか。その人のこと考えすぎて、集

中できなくなっちゃったりとか…」

「そうなんだ〜」

「なに?なんで?」

やっぱり、恋?

あたしは、奏クンが好き?

でも、はっきり言って…奏クン、イケメンじ

ゃないよね?

あたし、すごい面食いなんだけど…

やっぱ、恋じゃない?

でも、この前旧館の図書室で寝てた時、メガ

ネつけてなくて…

なんか雰囲気違うなって…

「ちょっと!!奏歌!!」

「ん?」

「勝手に自分の世界に入らないで!!」

「あっ、ごめんね」

本気で考えてたかも。

「で、誰が好きなの?」

「えっ?誰も。好きな人といったら、梨那く

らい」

「ち・が・う!!恋の好き!!誰が好きなの?男

バスの人なの?」

「だから、違うって〜」

「あっ、秋山クン?」

びくっ!!

今、あたし明らかに肩が揺れた!!

はい、そうで!!すって言ってるようなものだ

よ!!

「へ〜。なんで?」

やっぱり、バレてる!!

けど、あたし自身、好きなのかどうか、わか

ってないしな〜。

「わかんない。好きかどうかもわからない。

意味わかんない。全くわかんない」

わかんないしか言えない。

知らないもん。

わかんないものはわかんないもん。
< 162 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop