。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
—ギュッ


抱きついちゃった。

…抱きついちゃったよ。

奏クンの背中に…

「かっ…奏歌ちゃん!?」

…言葉が見つからない。

出てくる言葉は、ただひとつ。

「……好き…」

「えっ?」

「あたしの聞き間違いかもしれない。けど、

奏クンがあたしを好きって言ってくれてから

あたし…考えて。奏クンが好きなんだって、

気がついたの…」

「…奏歌ちゃん」

「最近、なんか避けちゃってごめん。会うの

が恥ずかしかったの」

「…奏歌ちゃん。俺の話、聞いて?」

「…うん」

抱きついたままだったのを思い出し、奏クン

から離れようとしたら、手を捕まれた。

「…このまま抱き締めてて」

奏クンのいつもより、低いボイスが、あたし

をまたドキドキさせて、恥ずかしさが増して

くる。

「…俺、この前告白したよ。言うタイミング

悪かったし、聞こえてないと思ってた」

「…うん」

「好きだよ?奏歌ちゃん」

「…あたしもっ…好きですっ…」

嬉すぎて、泣けてきたよ。

「俺と付き合ってください」

「こちらこそよろしくお願いしますっ…」

「うん。これからは、奏歌って呼ばせてもら

うね。だから、奏歌も奏って呼べよ〜」

「…うっ、うんっ」

「ほら、今っ」

「奏…………クン」

「まだクンがついちゃうか〜。まだいいよ。

これからよろしく。俺の彼女」

「うんっ」




このあと。

手を繋いで教室に戻ったら、梨那と夏喜クン

に冷やかされました。
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