。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

謎の行動

「すみません」

「あっ、はい」

「女の子用の制服がほしいんですけど…」

俺は今、うちの高校の制服の注文を受けてい

る店に来ている。

「えっ…」

「彼女が、制服がダメになっちゃったんで」

「ですが…ご本人様が来てくださらないと…



「来れないんです。サイズも閉めももらいま

したし、お金も預かっています。ダメすか?



「…それなら、大丈夫です。サイズのメモ、

お預かりしてもよろしいですか?」

「はい、お願いします」

「できあがりは、一ヶ月後となります。よろ

しいですか?」

「…はい。大丈夫です」

店員と話をつけた俺は、店を出る。

…一ヶ月後か。

結構長いかもしれない。

まぁ、一ヶ月後なんて、今までの計画にかけ

てきた時間よりも、遥かに短いけど。

一ヶ月で、探さなければ。

一ヶ月後しか、時間はないんだ。




「松崎≪まつざき≫儚様でいらっしゃいます

か?」

「はい」

「申し訳ございません。制服の件なんですが

、今の時期ですと、制服の生地が揃わないも

ので…一ヶ月ではできなくなってしまいまし

た」

「…はい」

「誠に申し訳ございません」

「いえ」

「では、出来上がり次第、またお電話させて

いただきますので」

「はい、わかりました」

「失礼いたします」

2週間くらいたった日。

あの店から、電話が来た。

正直、一ヶ月で終わらなくて良かったと思っ

ているところ。

…まだ、見つかっていないから。

「この顔…絶対見たことあるはず」

まぁ、今日も行ってみよう。

あの場所へ。




「出来上がりましたので、いつでもお待ちし

ております」

あの店から電話が来た。

その頃には、探し求めていた人は検討ついて

いた。




「ありがとうございます」

女の子用の制服を受け取って…

店員に笑顔を返した。

偽りのない笑顔を。

店を出て、家に帰る。

自分の部屋に入ると、もらった制服を抱き締

めた。

「……結愛…」


早く、君に会いたいよ。
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