。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-2年生-

桜が満開に咲いている。

あたしは…2年生になった。

そして…あたしは、特進クラスに入った。

クラスが同じの子は…夏喜クンと、尚斗クン

しか知らない。

ふたりがいれば…とりあえず、それでいいと

思ったから。

尚斗クンは…やっぱり、あたしには優しく、

冷たい人とは思えない。

奏は…今年も、特進クラスじゃないはず。

特進クラスが嫌いだって言ってたから。

「奏歌ちゃん」

「あっ、夏喜クンと尚斗クン」

ふたりは、一緒に歩いていた。

「一緒に行こうよ」

「うん」

「奏歌ちゃんさ、俺と尚斗以外のクラスのメ

ンバー知ってる?」

「知らないよ。特進の子とは、あんまり関わ

りなかったし、女バスには特進の同級生、い

なかったから」

「あ~、特進の女子は、文武両道の奴いない

からね。男子でも、部活やってる奴は少ない

しさ。夏喜は、マジで偉い」

「尚斗、褒めてもなんも出ねぇよ」

「関係ねぇから。マジで偉いと思っただけだ

から」

夏喜クンは笑って、尚斗クンと肩を組み、尚

斗クンの頭を掻き回した。

「ふたりとも、仲良いね」

あたしまで笑っちゃう。

「奏歌ちゃんさ、クラスの女子と仲良くなれ

そうになかったら、俺らといていいから」

「特進の女子は、プライド高くて、奏歌ちゃ

んと合わないと思うし…」

「でも…悪いよ」

男同士じゃないと、話せないこととかあると

思うし…

「俺は、奏歌ちゃんがいてくれた方が嬉しい

よ。男ばかりじゃ、華やかさがないし」

「いやいやいや…奏歌ちゃんがいた方がいい

けど、尚斗一人で、すっげぇ華やかだし」

「ふたりとも、すっごくカッコイイから大丈

夫だよ。でも、夏喜クンにカッコイイって言

ったことは、梨那には内緒ね」

梨那に、嫉妬されちゃうから。

「じゃあ、俺は覚えてていいんだ~」

「尚斗クンたちじゃ、すぐにまた、カッコイ

イって言われて、あたしに言われたことなん

て忘れちゃうよ」

「忘れないよ。奏歌ちゃんのは、気持ちがこ

もってるから」

「さ、奏歌ちゃんも尚斗も行こうぜ。奏歌ち

ゃん、クラスまだ入ってないんでしょ?」

「うん。行こっか」

3人で並んで歩くと、またあたしの顔が、悲

しいことがよくわかる。

けど、このふたりといると、安心できるから

すごくいい。

「クラス、ここだよ。俺ら、一回階が上がっ

ただけだったな」

「まぁ、楽でいいからいいだろ」

「そうだな」

3人でクラスに入ると、クラスは騒がしくな

った。

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