。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
同じ声が話してる。

しかも、顔も同じだ。

「だから、海っ」

「空、気にしなくていい。で、ふたりには、

俺らのチームに入る前に、あいつと殺ってほ

しい。お前の腕試しだ」

「はい。わかりました」

「うぃーす。倒せばいいんだ」

「…海、俺の足、引っ張んなよ」

「空こそ。俺の足、引っ張んなよ」

「あぁ、桜吹雪さん?こいつら、双子」

…なんか、うざい。

てか、怜さん?

あたしに話しかけないで。

「じゃあ、よろしく」

「じゃあ、よろしく」

同じ表情で、同じ言葉を一斉に言うな!!

兄弟が出来なくて困ったあたしには、すごい

苛立つからやめろ!!

にこっと、双子が笑った。

「………嘗めんなよ」

あたし、お前らなんかに負けない。

たった、男ふたりだろ?

ふたりが一度にかかってくる。

…弱い。

ふたりを交わす。

海…だった?

お前、ナルシストだろ。

だから、お前は顔面殴ってやる。

確か…空。

お前は、ペコペコ頭下げるの好きだな。

だから、お前の腹蹴ってやる。

そうすれば、また頭下げられるだろ?

一発で終了?

ふたりとも、膝ついてる。

「…俺の勝ちだな」

…待て。

走る音、聞こえる。

「………海」

海の方だな。

じゃあ、もう一発。

腹に殴ってやる。

「……いいだろ?ふたりとも、倒れてる。1

分、かかったか?」

「………お前の強さはわかった。怜、ふたり

は大丈夫か?」

「あぁ。全然。こいつら、なんもなってない

みたいだな。まぁ、海は口が切れてるみたい

だけど」

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