。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-龍夜-

「龍さんっ」

あの、皐月さん登場事件から、初めて学校に

行きました。

「……碧、説明しろ」

「あ~…はい。あの…」

「あいつは、誰だ?」

「桜吹雪組の幹部…です」

「…チッ。で、怪物みてぇな強さか」

「多分…親父の次に強く、権力もあると思い

ます」

「……で?あいつの目的は?」

「俺が…龍月を辞めること。俺、この高校入

るのも、反対されてました」

「……で、お前は龍月を辞めるつもりなのか

よ」

「そんなわけないですっ…龍月も学校も、辞

めませんよ!!」

「……そうか。じゃあ、帰るぞ」

「えっ?」

「…病院。ちょくちょく、肋折られた奴もい

るから。見舞い行くぞ」

パッと投げられた、ヘルメを受けとる。

「はいっ」

龍さんのバイクの後ろに乗り、龍さんに掴ま

る。

バイクって良いよな~。

あたしは、いつも車だったから、風を感じて

移動…なんて、なかった。

この時間が、楽しかった。


着いた病院には、あたしによく頭を下げてく

れる子とかも、たくさんいた。

その中には、本当に仲良くしてる人とかもい

た。

「ごめん…これ起こしたの、俺の知り合いな

んだ。マジで悪ィ」

「いや、いいっすよ、碧さん!!俺たちのため

に、見舞い来てくれたし」

「ごめんな、みんな。早く直して、俺と殺ろ

うな!!」

「いやっ、碧さんっ!!碧さんと本気で夜った

ら、マジで殺されちゃいますって!!」

「そうだな~。殺そうか」

「マジでやめてくださいよ~」

「ははっ。わかってるっつ~の」

ここのメンバーと一緒にいることは、すごく

楽しくって。

「…あの、龍さん」

だから、最近聞いたその内容を聞くのが…怖

くて仕方なかった。







「……あぁ。そうだ」








…あぁ、やっぱり。

特徴として似てたし、もしかしたら…って、

思ってたけど。

違えばいいと思ってたし、それが事実だった

ら、龍さんが悲しむと思った。

…皐月さんの言ってたことは、本当だったん

だ。







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