。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-大抗争-



龍夜の巣。

つまり、溜まり場に、今日行く。

「翔、大丈夫?」

…本気で心配。

あたしは、喧嘩には慣れてるし、家柄的にも

慣れている。

けど、翔は…慣れてないだろうし。

顔とか、可愛いし。

喧嘩と結びつかないよ…

「大丈夫だって!!俺、碧が知らないうちに、

結構男として、強くなったんだよ」

「本当か?」

「頑張るよ。碧のためにさ」

…翔は、いつものように抱きついてきて。

ふざけてるようにも見えるけど、いつだって

あたしのために、頑張ってくれて。

あたしの側にいてくれて。

…翔は、すごく大切な人だ。

「…翔、いつもありがとな」

「…碧のためだもん。俺、碧が大好きだから

さ」

「…嘘つくなって」

「ほんとだって。だから…頑張ろうな」

そして…あたしは、龍さんのバイクの後ろに

乗って、龍夜の溜まり場の近くに行った。

そこでは…女の子が、なぜか多くの男に責め

られ、殴られていた。

「…チッ」

…あたしは、無意識に舌打ちをしていた。

なぜ、関係ない女の子を巻き込む?

「…ざけんな」

あたしは、その男たちを蹴り飛ばした。

「…ってぇな!!誰だ、てめぇは!!」

「…誰でもいいだろ~が。てめぇら、やり方

汚すぎてイラつくんだよ!!」

…ムカつく。

あたし、こういうやり方の悪い奴が、一番嫌

いだ。

「…碧、先人切るの、はえ~よ」

「すいません、龍さん」

「ぷっ。はははははは!!さすが、碧!!」

「怜さん!!笑う時じゃないです!!」

怜さんは、相変わらず笑いっぱなし。

「いや、おもしれぇよな、怜!!ぶはっ」

…優さんも、笑ってる。

「もう、いい加減にしてください!!」

「てめぇら、笑ってんじゃねぇよ!!おいっ、

てめぇら龍月だな!?」

「……龍月だが、なんか用か?」

「ちょうど良かったぜ。総長も、もうそろそ

ろ来るしな」

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