。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-シャボンダマ愛-

あぁ、恥ずかしい。

とてつもなく、恥ずかしい。

…みんなに顔が知れ渡ってるからこそ、余計

恥ずかしいんだけど。

あたしは今、琉咲に登校中。

制服は…女用で。

俊兄が、特別に作った。

スカートは、みんなと同じ色のチェックの超

ミニスカートで。

靴下は、ニーハイで。

靴は、厚底のローファーで。

リボンも、スカートと同じ柄。

…みんなと同じ、ネクタイで良かった。

もう、本当に恥ずかしいから、パーカーのフ

ードを被る。

マスクもつけて、ほとんど顔を隠した。

一緒にいるのは、龍。

…まだ、あたしが女として琉咲に転校?した

ことは知らないみんな。

何事だという目で見られる。

「……龍…」

あたしは、どうしたらいいの?

助けを求め、龍のワイシャツを掴む。

「……なんだ?」

「視線…痛いよぉ…」

嫌だ。

女の扱いっていうか…女として見られるのが

恥ずかしいよ。

「あ~お~い~!!」

「きゃっ」

いきなり後ろから抱きつかれた。

……こんなことする奴、一人だけ。

「翔!!」

いきなり抱きつかれた反動で、思わず回し蹴

りをいれた。

「ったぁい!!痛いよ、碧!!」

その勢いで、フードが脱げてしまい…

あたしの、この学校では珍しい、黒に青のメ

ッシュの入った髪型が…露になった。

「銀龍!?」

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