。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

声で演技

「奈央、三次審査まであと一週間だよ!!」

「そうだね~。もうそろそろ、落ちちゃうだ

ろうね」

「なに弱気発言してんのよ!!練習するわよ!!

ほら、テンションあげて!!」

「テンションあげてって…それより、なんの

練習するの?なにやるかわからない審査のた

めにやることなんて、ないんじゃない?」

「あるわよ!!もうすぐやるはずだから」

「なにを?」

「セリフ読みよ!!声優の審査よ?いくら可愛

くても、セリフが言えなきゃだめ!!だから、

練習するの!!」

「セリフってなんの…」

「とりあえず、告白の!!」

「言葉は?」

「う~ん…じゃあ、好き…です。大好きです

…ね!!ほら、坂下!」

「えっ!?あぁ!?」

「あんた、相手役ね。奈央、ルックス足りな

い奴だけど我慢して!!」

「いや…坂下クンがカッコ悪いとは思わない

けど…」

「カッコ悪い!!ほら、セリフ言って!!」

彩希…怖いよ。

坂下クン、困ってるよ?

坂下クンに悪いよね…

「ごめんね、坂下クン」

こそっと坂下クンに言うと、深呼吸。

「好き…です。大好きです…」

いつもの声とちょっと違う、なんか切ない声

で言ってみる。

あたしが告白するとしたら…たぶん切ないか

ら。

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