。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
とっ…当日です…
ノリで頑張るとか言わなきゃ良かった!!
無理無理無理無理無理無理無理~!!
「夕暮奈央さん」
「…はい」
名前呼ばないで!!
中、入りたくないから!!
「今回の審査は、セリフの審査です。私たち
が指定しますので、そのセリフの情景などを
自分なりに考えていただき、演技していただ
きます。あくまでも、これは読むのではあり
ません。声で演技をしてください」
声で演技かぁ…
なんか、名言?
「夕暮さんは、このセリフをお願いします」
渡された紙を見ると…
『好きじゃないもん!!あんたのこと、好きな
わけないじゃない!!…嫌い。大っ嫌い!!』
おぉ…
あたし、すごいの選ばれちゃった?
できるかな…あたし。
できるかな…
どうやって言おう…
「夕暮さん、お願いします」
わ~!!
考えてる間に来ちゃったよ!!
とりあえず、深呼吸…
よし!!
「好きじゃないもん!!あんたのこと、好きな
わけないじゃない!!」
怒ってるよね…これ。
「…嫌い」
ここは悲しそうに。
「大っ嫌い!!」
あ~あ…
なんか、まわりの方々、あたしに引いてるみ
たい…
そうだよね…
あたし、声優なんかできないもん。
「では、次の方」