。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

わかんない(´-ω-`)

「って人だったの!!」

打ち合わせの次の日。

彩希に、光輝クンの冷たさを説明しました。

「もう、奈央…その話、何回も聞いたから」

「けどねっ…」

「わかったって。本物の青葉光輝は、もっと

優しい人なんでしょ?でも、それには根拠が

ないじゃない」

「こっ…根拠は…」

「でも、冷たいははっきりした根拠がある。

だから、青葉光輝は冷たい人なの」

「彩希~…」

「じゃあ、この話は終わり。その名前ばっか

言ってると、まわりの奴らが興味示して近寄

ってくるよ」

「えっ?」

「まぁ、すでにいろいろしようとしたみたい

だけど…まぁ、無理だよね。うん」

彩希…

なにを勝手に満足してるの?

「奈央、明らかに意味がわかりませんって顔

してるけど、さっきから坂下がまわりの奴ら

を追い払ってくれてるんだよ?」

「えっ…」

ほんとだ。

坂下クンが、ドアの前で友達と話してる。

クラスの子は、坂下クンの笑ってるけど笑っ

てない顔に怯えてるし、ドアの所で話してる

から、他のクラスの子も覗きにきてない。

彩希が前に言ってたけど、坂下クンがみんな

の前で抱き締められたから、女子からはちょ

っと妬まれてるけど、男子から変なラブレタ

ーが届かないって。

坂下クンのおかげだって言ってた。

坂下クンは、すごく女の子に人気がある。

確かにカッコイイし、男らしいから。

それに、男子にも信頼されてる。

なぜあたしたちといてくれるのか、謎なくら

いに。

だって、坂下クンから声かけてくれたし、最

近はいつも一緒にいるし…

この前だって、助けてくれたし…

あたしたちといなくても、みんなが坂下クン

を求めてるのに。

あたし、いろんな人に助けられてる。

彩希にも、坂下クンにも…

「坂下クン」

「あ?」

友達と話すのに夢中だったのかな。

遮ってごめんね。

「…坂下クン、いつもごめんね。あと、あり

がと。いつも助けてくれて」

「…んだよ、夕暮。いきなりどうした?」

「ううん…けど、いつも助けられてるなって

思って。坂下クンのおかげで、あたしは今も

平気なんだもん。それに、坂下クンがいつも

一緒にいてくれてるから…」

「んだぁ、もうっ!!そういうこと言うな!」

「えっ?」

「…照れっから」

照れる?

「えっ?もっとわかんないよ」

なんで照れるの?

「…ったく、夕暮は。俺の気持ちくらい、気

づけっつの。天然」

「…天然?あたしが?」

「…やっぱ、天然。まぁ、それも長所か」

「ん?」

「いや、なんでもねぇよ」

あたしって、天然なの?






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