。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
そこに、梨華が剣人を止めにいく。

「ダメだよ剣人!!今、試合に出て、剣人の足

がダメになったらどうするの!?剣人の夢、壊

れちゃうよ!!ダメ!!」

剣人の夢…それはサッカー選手だった。

剣人の今までの活躍で、もうJリーグと契約

はしているものの、剣人の足がダメになった

ら、確実に契約を破棄されてしまう。

「梨華…」

そうして、剣人は梨華を抱き締める。

さっきまで、ずっと話し続けていた梨華も、

黙った。

「俺はお前に全国大会の優勝をプレゼントし

たいんだよ」

「あたしは全国大会につれていってとは言っ

たよ。けど、絶対優勝してなんて言ってない

よ!!あたしはただ…剣人が無事なら…」

梨華は泣き出す。

「俺は、今、この瞬間しかない、このチーム

で勝ちたいんだ。戦いたいんだ。この足がダ

メになっても…な?」

「剣人…」

「梨華、聞いてくれ。もし俺が、試合で勝っ

たら…」

「待って。それ以上言わないで」

「えっ…」

「あたしは、あなたのファンだから。応援団

だから…今は、試合だけに集中して」
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