。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
あたしが選んだのは、ジャージの方。

セーラー服も可愛くて、着てみたかった。

けど、マネージャーの仕事を真剣にやるため

に、ジャージにした。

「林クン、ごめんねっ」

「あ?」

振り返った林クンは、林クンじゃなくて…

「光輝クン!?」

サッカー部のジャージを着た、光輝クンだっ

た。

…これ、ヤバイ。

光輝クン、カッコ良すぎです。

「…ジャージにしたのか?」

「うっ…うんっ。だって、ジャージの方が動

きやすいでしょ?」

「俺はマネージャーじゃないから、知らない

し。てか髪型は?」

「髪型?」

「さっきまで、おろしてただろ?」

あっ、そのことね。

マネージャーっていうから、なんかイメージ

で二つに結んでみたけど…

…気づいてくれたんだ。

「あのね、マネージャーっていうから、イメ

ージで二つにしたの。普通、学校だとおろし

っぱなしは校則違反でしょ?」

「けど、違反してる奴ばっかだろ?」

光輝クンは指さして言った。

う~ん…

確かに。

この学校は、違反してる子多いね。

「あたしは、今日はお邪魔させてもらうし…

礼儀正しくしてないと?」

なぜか疑問系なあたし。

だって、理由になってない気もするし…

「まっ、お前に任せるから。俺は、サッカー

やってくるから、お前、迷惑かけんなよ」

「わっ、わかってるもん」

「ふっ…じゃ、頑張れよ」

頑張れよって…

もう、あたしドキドキが止まらないよ…

ポンポンッてあたしの頭を叩いて、グランド

に向かっていく光輝クン。

…頭、熱い。

熱があるからとか、そういうんじゃなくて、

本当に熱い。

なんでだろ。

わかる。

頭が熱くなってること。

触らなくてもわかる。

顔が真っ赤になってることだって。

なんでわかるの?

きっとそれは…

あたしが光輝クンのことが好きだから。

今日の光輝クン、おかしいよ…

いつも、ずっと意地悪なのに、今日はなんて

いうか…

すっごく優しい。

きっと、ううん、絶対。

光輝クンは優しい人なんだ。

< 71 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop