。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

そして再び、俺と由依が再会した時には…

由依は、教師と付き合っていた。

「あたし、わかったんだ。あたしは、もっと

大人の男が好きだったの。光輝って、声も見

た目も大人みたいだったから、好きになった

んだと思う。けど、仕事と恋愛を両立できる

ほど、大人じゃなかったんだよ。先生は、す

っごく大人でカッコイイんだ!!」

そんなことだけ言って、俺の前から消えてい

った。

…元カレに、そんなこと言うか?

普通に傷つくだろ…






そんなことのがあったから…

俺は、同世代の女も嫌いだし、教師も嫌いだ

し、やっぱり、大人の男は嫌い。

…俺、未練あるのか?

てか、トラウマかもしれないな。

…俺、もう恋ができねぇかも。

…なんて、今もいつもと違う、なんか苦しさ

を感じてるけど。

…奈央。

お前はどんな想いを抱いて、俺に告白したん

だ?

俺に恋して、辛くなかったか?

奈央が好きになったのは、俺の声か?

奈央も…

女心とか、そういうことを気にしてる?

俺、女心ってやつ、なんもわからないよ?

恋心すらわからない…

笑えるよな、こんなやつ。

そんな俺はやっぱり、取り柄は声だけか?

俺には、謎ばかりだ。

わからない。





わからない、わからない。






なにも・・・・わからない。






女心も恋心も。

自分の存在すらも…

俺は、なんなんだ?

俺、自分自身を知らなすぎるんだ。

あっち行ったり、こっちに来たり、自分が向

かわなきゃいけない方向も、自分の考えてい

る方向も、全くわからないんだ。

…俺はまるで、迷路をやってる子供みたいだ

な。





一度入った迷路。

本当は、すごく簡単で、冷静に考えたらすぐ

にゴールを出られるような迷路。

でも、子供は、わくわくし過ぎて、まわりが

見えなくなるんだ。

俺の場合は…

失敗を恐れて、冷静さを失っている。

本当は、迷路に失敗なんてないのに。

迷路では、反則かもしれないけど、迷路で行

き止まりに当たったら、前の道に戻ればいい

んだ。

やり直せばいいんだ。

こんな簡単なことをわからない俺は…

やっぱり、失敗を恐れている。



…奈央。



こんな俺だと知っても、まだ好きか?




…こんな弱い俺でも。



俺は…奈央、お前が…

光輝side終

< 91 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop