シンデレラルーム 702号室
そう言われると何て応えたらいいか戸惑ってしまった。


俺達が出逢う前は、お互い生きる意味や希望も持てずに日々を過ごしていた。


俺にはこの仕事があったからまだ良かったものの、莉子は家族も友達もいない孤独な生活を送っていたから

自分の好きなことをする気力もなかったんだろう。



それに、一年と数ヶ月前は俺との子供を流産してしまい、莉子は相当なショックを受けていた。


しばらく仕事が出来る状態でもなかったから、無理をして働かなくてもいいだろうと思い辞めさせたのだ。



そのまま今に至るのだから、莉子が『自分には何もない』と言うのも仕方ないことだと思う。


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