シンデレラルーム 702号室
俺と結婚する前にしばらくここで働いていた莉子は、美和ちゃんを母親のように慕っていた。


母親がいない莉子にとって、美和ちゃんはきっと特別な存在なんだろう。



「昨日またマフィン作ったのよ〜。莉子ちゃんに持っていってあげて!」


「あ、本当?そりゃ喜ぶよ。ありがとう」


「……あら?私ったら車に置いてきちゃったみたい。
すぐ取りに行ってくるからその間フロントお願いね!」


「はいはい」



慌ただしく事務所を出ていく美和ちゃんを見て、俺はクスッと笑いを漏らした。


莉子は美和ちゃんが作ったマフィンが大好きなんだ。

それを幸せそうに食べる姿を見ると俺も嬉しくなる。


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