シンデレラルーム 702号室
莉子の喜ぶ顔を思い浮かべながらコーヒーに口をつけると、ロビーの方から女性の声がした。



「ちょっと…!?待って、雅秋さん…!」



少し困惑しているような女性の声と、コツコツと響くヒールの音がエレベーターの方へと消えていく。


おいおい…無理やり連れ込むなよ?
と思いながらコーヒーを飲み、何気なくモニターに目をやった。



……ん?あの男の背格好……


そういえば“雅秋”って言ってたよな?


俺はモニターに顔を近付けて、まじまじとカップルの男の方を見る。


そして、一瞬目が点になった。



「か、加川さん…!?」



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