あやとり
母が私の頭を撫でてくれた。
撫でられたのはいつ以来だろう。
「みぃちゃんも怖い思いをしたんだね。優についていてくれてありがとうね」
急にこみ上げてくるものが私の全身を覆って、母の肩を借りながら、声を殺して泣いた。
父はずっと黙ったまま、優ちゃんの寝顔を見ていた。
「ん……」
優ちゃんが目を覚ました。
「優ちゃん」
顔の上の酸素マスクを無意識に取ろうとする。
「だめだよ、してなきゃ」
「……みぃちゃん?」
「お父さんとお母さんもいるよ」
優ちゃんは酸素マスクを横にずらし、ゆっくりとした瞬きをした。
「わたし……あ……」
記憶を辿っているのだろうか。
優ちゃんの顔がどんどんと穏やかさを失っていく。
「あ……赤ちゃん、みぃちゃん、赤ちゃんは?」
答えを求める優ちゃんの手を母が握り、撫でる。