あやとり

リビングに戻ると、ソファーの前のテーブルに何枚かのお見合い写真らしきものがあることに気付いた。

「なに、これ?どうしたの?」

母が台所からやってきて、その写真たちを手に取った。

「優にお見合いの話が幾つかあったから、そのことを伝えたのよ。そうしたら、あの子ったら……」

「もう、あんな娘は放っておけ!」

父が感情的になっている。

何があったのだろう。

気になるけれど、今、ここでは話してもらえないことを悟り、父が居ないときに母に聞こうと思った。

母も、父の一言でこれ以上説明しようとはせず、お見合い写真を揃えて持ち上げ、棚の上に置き、夕食の準備を続けた。

「着替えてくる」

この家の中の雰囲気が重い。

当の本人は、帰るところがあるからいいのかもしれないが、ここに残され、この場の雰囲気を耐えなきゃならない家族は最悪だ。

今回ばかりは、アルバイトの話を優ちゃんに頼ってしまったことに後悔した。
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