HERETICAL KIDS
「誰が転がるか!!
お前が小屋に入って用意している間に追いついたんだ!
それにお前、荷物持ってるだろ!」

その言葉に納得したリュート
そうで無ければ、隣のおじさんに速さで負けたことになる
それだけは、絶対に嫌だったのだ

「そーだよなぁ~
オレが小屋にいる間に転がってきたんだよなぁ~
運動してない隣のおじさんがオレに追いつくには、転がるしかねぇ~よなぁ~」
「だから、転がってねぇ!!ちょっと転んだだけだ!!」

堂々と言われた言葉に、リュートは呆れるしかなかった
いい歳したおじさんが『転んだだけだ!』と、転んだことを堂々宣言するのはいかがなものか…
普通は、きっと口が裂けても隠し通したくなる事実だろう
少々悩んだリュートだが、隣のおじさんだ…ということで全て処理された

「転んでから立ち上がったのか?」

一応念のために尋ねてみるリュート
普通の人に対しては絶対尋ねることの無い言葉
きっと、相手が子どもであっても転んだ後に立ち上がったかの確認はしないだろう
それを聞かれているということは、隣のおじさんには前科があるようだ

「いや、そのまま来たぞ!」

エッヘンというような効果音が付きそうな態度で言い放つ隣のおじさん
ハッキリ言って、胸張って肯定することではない
何故立ち上がらなかったのか…きっと、立ち上がるのがめんどくさかったのだろう

「それ、転がってきたんだろ」

リュートが呆れた眼差しを隣のおじさんに送りつつそう言うと、隣のおじさんは固まった
多分、自覚が無かったのだろう…普通では絶対ありえない話なのだが…
結局、初めにリュートが言った『転がってきた』は間違いでは無かった
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