前世と今~記憶の鎖~

幼馴染

「ほら暁、寝やんと後で泣かなアカンなるで~」

優希は暁をトントンしながら、寝かしつけている
美紗子は家事をしないといけない…という理由のもと、ココにはいない
思いっきり押し付けられた感があるが、気にしないことにしよう

「ぅ~~ぁぅ~~」
「いや、喃語で喋りたい気持ちも分かるけどな
もうちょっと昼寝せんとアカンわぁ」

暁が寝ていたのは、10分程度だったらしい
昼寝の前はごそごそ遊んでいたらしいので、今ちゃんと昼寝をさせなければ必ず後で不機嫌になるだろう
喃語で話す暁にそう言いながら、トントンする手は止めない

「こんにちは~」

そんな時、玄関から子どもの声がした
それは優希のよく知る声

「恭ちゃんかぁ~」

恭ちゃん…こと御影 恭は優希のお隣さんだ
優希とは幼馴染という関係
子ども園を入学式から体調不良で休んでいた子だ
声の感じから、元気に回復したことが分かる

「恭ちゃ~ん、入ってえぇよ~
今、暁寝かしよるから~」

優希が大きめの声でそう言うと、トコトコと可愛らしい足音が聞こえてきた
普通、大人が迎えてもいいところだが…美紗子は家事…哲夫は多分昼寝…誰も余裕が無かった
迎え入れてくれる大人がいなかったが、恭は家のつくりをよく知っているので、迷わずに優希のいる部屋までたどり着いた

「優希ちゃん、今日も弟のお世話??」
「そーやで~。お母さんが家事で忙しいからお手伝いやなぁ~」
「へぇ~…そうなんだ」

この御影 恭という男の子
3歳のわりにしっかりしている…というか落ち着いている
優希のように、前世の記憶があるわけでは無いのだが…

(まぁ、個人個人性格もあるしなぁ~)

優希はそういうことで、自分に納得させた
< 73 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop