前世と今~記憶の鎖~

歴史

「ねぇ、何言われたん?」

家に着くなり、優希は口を開いた
美紗子は、少し困ったような顔をし、優希の問いに答える

「優希ちゃんが、1日ずっと眠そうだったから、ちゃんと寝てますか…って聞かれたのよ~」
「あぁ…」

優希は思いきり心当たりのあることに、納得した
しかし、この問題が解決するのはしばらく後だし、優希がどうこう出来るものでも無い

「弟の夜泣きで眠れないみたいです…って言っておいたわ~」
「そうやな、それが事実やし」

優希は、美紗子が説明してくれたことに安心した
もし、何も言わずに「そうなんですか~」等の言葉で済まされていたら、先生から直接尋ねられることになる
優希としては、大人との会話は極力避けたいところなので、美紗子が説明してくれてとても助ったのだ

「ほな、自分の部屋おるわな」

優希はそう言って、自室に戻る
さっさと着替えを済ませ、パソコンの前へ

「ふと思ったんや…自分が死んでからの歴史と自分が生きていた時代が、どれだけ歴史に残ってるか…」

すぐに起動したパソコンに向かい、優希は調べる

「え~っと…生きてたんは…2037年~2157年…2037年とかは赤ん坊やから、何も覚えてへん…けど…
そうや、自分が7歳の時に大震災が…」

キーワードを入れ、検索にかけると、すぐに関連のあるものが表示された

「そうそう、これこれ…関西大震災…ってあれ?」

関西大震災に関しての記事を見ていて、あることに気が付いた

「たしか、自分が7歳で1月やったから…2045年やったよな…?1995年1月って…何でそんな前に…?」

優希は自分の記憶を手繰り寄せる
1995年なら、前世の歴史授業で近代史として習っているはず

「…いや…ありえへん…1995年言うたら…終戦した年やないか!
第二次世界大戦が1989年~1995年!そんな…2つが同じ年にあったなんて…そんなオカシイわ!
ほな、第二次世界大戦っていつの話になってんの!?」

優希は、わけが分からず混乱しながらも答えを求めて検索にかける
第二次世界大戦に関する記事をクリックし、年代を調べる

「…は?…何…これ…」

優希は画面の年代を見て愕然と見つめるしか出来なかった

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