半分の心臓
台風の去った後、目の前に残されたボクの食事。

「準備した朝食ねぇ・・・」
 
リビングから見える台所を眺めながら
母親に、
「毎日買ってきたパンの口、開いただけやんか」
と、反論する姿を想像している。
 
そんな未成年の意見は言えるはずもなく
押し殺したツッコミと共にパンをほおばる。
 
「はぁ・・・。」
ため息は耐えない。
ウチは母親を中心に回っている。
 
毎朝毎朝、
自分が仕事に行く直前に
寝むりこけている住人を
叩き起こすのは勘弁して欲しい。
 
こっちにはこっちの生活がある。
 
母親に叩き起こされる
時刻は7時前。
ボクの学校がはじまるのは8時半。
 
登校には自転車で40分。
 
差し引き余った青春は50分。
 
ぼんやりした頭は
TVのスイッチを入れ
朝のニュースにかぶりつく。
 
眠気覚ましにはうるさめの局がいい。
 
椅子に座ると視力が弱いため、
ほとんど見えないのだけど
特に集中して見ているわけでもなく
まぁいっかなどと勝手に納得し
耳だけ働かせているテレビっ子。
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