半分の心臓
そんな強気な主張も般若を前にUターン。

重い体を持ち上げ
適等に顔を洗い、
リビングに向かう。
 
腑抜けた態度で
食卓につこうとすると
目ぼしい食べ物は
小皿に乗った
しみったれたパン一切れに
何時に用意したかも分からない
中途半端な牛乳が一杯。
 
全く、

こいつらまで腑抜けてやがる。
 
マーガリンやジャムすらない。
 
それに朝食をたらふく食う派なボクとしては
 
あまりにも量が少ない。
 
「おか~ん。他にメシはないの?」
 
「毎朝、アンタにあわせてつくってられんわ!」
 
と、肩にかばんを担ぎながら
不機嫌な顔して外に出る赤鬼さん。
 
両手に装備するものは棍棒代わりのゴミの束。
 
玄関を開けると
先ほどのまで付けていた
般若の面はどこへ行く?
 
近所の人に笑顔で

「おはようございます」
 
を言いその足で
きっちり仕事に間に合うよう家を出る優等生。
 
こちらの要望を聞くカケラもない。

ヤリ逃げだ。ヤリ逃げ。
< 2 / 40 >

この作品をシェア

pagetop