墜ちた羽根
溜息を吐いてオウヤ君が一言。
もしかして冗談だと思ったのかな?悪いけど、本気だよ。
私がオウヤ君の手を引き、外へ飛び出した。
誰かの手を引いて外に出るのは、少しドキドキする。
そんなドキドキ感はそんなに味わう事は出来なかった。
何故ならオウヤ君がすぐに私の手を振り解いたから。

歩き続けてどれくらい経ったのだろう。
そんなに経っていないのかもしれない。
そう感じるのは…幾らオウヤ君との会話を試みようとしても、
あまり反応を見せてくれなかったからだ。
一方的に私が話していたからかもしれない。
その辺りは私も悪いと思っている。
でも何かを話し掛けると、
“ああ”とか“そうだな”としか返さない。
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