-astral-星に捧ぐ少女


――――――――――
――――――――
――――――


「…んっ………………」


ゆっくりと浮上する意識に、私は睫毛を瞬かせる。


あぁ…また夢を見ていたのですね…


頭がぼんやりとします。
まだ夢の余韻に浸っているのかもしれません。


起きなくては…………
早く………

「大丈夫、無理をしないで下さい。今は安全ですから…」


………え………?


今…声が………


「すみません、驚かせてしまいましたか?」

「!!!!!?」


―ガバッ


明らかに私の心の声と会話するその声に驚き、飛び起きる。


そこにはベッドに横たわる私をのぞき込む少女がいた。


深緑の髪と瞳…………
癖が無く、長くて真っ直ぐな髪が森の精を思わせるその人は、私の知る誰かを連想させた。



同じ深緑の髪と瞳を持つ隻眼の男性……


…ダンテだ!!!


そうです、私はあの時ダンテと捕まったのでした…


ダンテは無事でしょうか…


「…ダンテ………?」

「え…………?」


そう呟いた少女に視線を向けると、驚いたように目を見開いていた。


「ダンテ…ダンテとはダンテ・ハイベルトの事でしょうか!?」


少女の言葉に今度は私が驚く番だった。


「…ダンテを知っているのですか!?」


私の問いに少女は涙を流し、何度も頷く。


「私はテレサ・ハイベルト、ダンテ・ハイベルトの妹です」

「妹っ!!!?」


ダンテに妹がいたのですか!



でも納得する自分がいる。それ程にテレサさんの容姿はダンテにそっくりだった。


「あぁ…お兄様は生きていらっしゃるのですね…」


「多分…いいえ、生きています。ダンテはとてもお強いですから…」


あの人が死ぬなんて有り得ない。


「本当に良かった…お兄様が生きていてくれたなら…それだけで……」


涙を流し続けるテレサさんの手に優しく触れると、テレサさんは笑みを浮かべた。











< 213 / 357 >

この作品をシェア

pagetop