大江戸妖怪物語
次の日の朝
「んー!気持ちいいねー!早起きは!さてと、集会所に集合が11時でしょ?今は、10時50分か!余裕余裕!」
朝の雀の鳴き声は心地いいこと限りなし!・・・あれ??
「・・・って!10時50分?!?!?!やっべええええええ!間に合わねええええええええええええ!」
慌てて階段を下り、居間に行く。
「母さん!起こしてくれなかったの?」
「ウィ~。ヒック。たらいまぁぁぁみかどぉお」
そこには顔を赤くしデロンデロンのベロンベロンに酔っ払った母さんが座っていた。
「・・・もしかして朝まで飲んでたの?母さん・・・」
「ヒック・・・佐久間さんちのウィック・・・旦那さんの・・・・・・」
母さんはよっこらせと立ち上がり千鳥足で歩き、
「ぶううわかきゃろおおおおおお!!!!!」
と叫んだ。
「落ち着いて、母さん!なんか呂律回ってない!」
ひどく悪酔いしている。これは一体・・・何杯飲んだらこんなことに・・・
ふと横を見ると泡盛の瓶が3本出ている。
「母さん・・・帰ってきてからも飲んだのか・・・」
僕は母さんの飲みっぷりにため息を一つ付いた。
「おはよう神門。今日は祭りの準備だな。私は準備が出来ている。さあ行こうか」
「『さあ行こうか』じゃなくて!なんで起こしてくれなかったのさ!」
「成人過ぎて他人に起こしてもらうやつがあるかバカタレ」
正論を言われ、黙り込む。
「・・・・・・うう、とにかく、母さんはここで寝かせといて、早く集会所へ!」
「ウィ~ヒックぅぅッッ・・・おあかえりなさあぁぃ神門ぉぉぉヒック」
「それを言うならいってらっしゃいだ」
玄関を出て走り出す。
「集会所まで遠いよ・・・。あそこ、道が入り組んでるから遠回りしなくちゃなのにぃ」
「では跳んでいこう」
雪華は足を指差した。
「・・・なるほどね」
僕と雪華は人から見えない裏路地に入り、一気に平屋の屋根へと駆け上がる。
そのまま豹のごとく速いスピードで集会所へと向かう。屋根の途切れ目をタイミングよくジャンプし、その姿はムササビのよう。
「二分前だ。よし、間に合うぞ」
「お前、・・・屋根跳びが上手くなったな。少々ながら妖力が上がったのではないか?」
「え?嘘?そんなこと言われると照れる・・・「ゴーーーーーーーーン!」
「ぐッッッッはあぁぁぁっぁうええ!!!!!!!!!!」
「神門?ちゃんと前見ないと危険だぞ?酒屋の煙突があったら今みたいにぶつかるぞ?」
「それをさきに言え!」
頭から多少流血しながら、やっと集会所についた。どうやら間に合ったらしい。
「あれ?!紅蓮の神門くん?!なぜ集会所の裏から?!そしてまさかの流血!!」
「ああ、・・・んまあ、いろんな事情でね・・・ハハハ」
僕は集会所のオジさんの話に適当に返した。