大江戸妖怪物語
バァンッッ!!!!!!とその瞬間無造作に開けられた扉。カツカツ・・・と足音を立てながら部屋の中に入ってくる。僕は息を殺した。呼吸音なんて出したら・・・ばれてしまう。
足音は桂木の机の方向へと向かい音を止めた。カチャ・・・と金属が擦れる音、おそらく机の上にあった鍵を手に取ったのであろう。ジャラリと音を立て服の中に入れる音が聞こえた。またコツコツ・・・と音がしてペラ、と独特な音が聞こえる。おそらく写真を手に取った音だ。
神門(やばい・・・・・・お願いだ・・・・・・・気づかないでくれ・・・・・・)
足音は部屋中を歩き回った。どうやら、この中にいるネズミ・・・僕を探しているらしい。クローゼットが開けられた音がして、中の衣類を引きずり出す音が聞こえる。そしていないことがわかると、次のクローゼット・・・そしてロッカー・・・・。
徐々に僕に近づく足音。これ以上の恐怖なんて一体どこにあろう。
カーテンをシャッ・・・と開いたり、小さな戸棚まで開ける音が細かに聞こえてくる。音だけ聞こえる、というほどすさまじい恐怖・・・。そしてその足音は僕の目の前まで来た。
神門(ああ・・・もうだめだ・・・・)
僕が諦めてため息を吐こう・・・と考えた時だ。
桂木の部屋の外から大きな何かが割れる音が聞こえた。漏れかけたため息が引っ込む。
足音は一瞬止まると、早歩きで桂木の部屋から出て行った。
そして謎の足音が去ってからすぐ、小走りで走ってくる音が聞こえる。再度身をこわばらせた。
雪華「・・・ッ、神門ッ・・・・・・」
小さい声で呼ぶ声。それはまさに待ち焦がれていた人、雪華であった。
雪華「いま黒龍が撒いている・・・。早く部屋へ戻るぞ!!!」
僕と雪華は小走りで自分たちの部屋へと戻った。
神門「撒いてるって・・・黒龍は大丈夫なのか!?」
雪華「・・・近くにあった黒いカーテンで体を隠しながら逃げている。もうすぐ撒いて帰ってくるところ・・・だと」
そういっているさなかに黒龍は扉を開けて入ってきた。
黒龍「ハァ・・・なんとか逃げ切った・・・」
黒龍は汗だくでへなへなと座り込んだ。
神門「・・・あれは・・・琉堂?それとも、桂木なの??」
雪華と黒龍は一瞬顔を見合わせた。互いの表情が曇る。どうしたのだろうか。
黒龍「・・・琉堂も桂木も・・・あの部屋から出てない・・・」
その言葉に僕は耳を疑った。琉堂と桂木では、ない?
雪華「ああ、桂木と琉堂はあの部屋から一歩も出ておらん。だが、・・・ふと嫌なものを感じてな・・・。あわてて見に行ったらあのザマだ・・。」
神門「ちょ、ちょっと待ってよ。桂木も琉堂もあの部屋から出てないってことは、あの僕を襲おうとしたアレはなんだったんだ?」