初昼の儀式
 その時も私は、トレーに昼食のとりそぼろ丼とヤクルトを乗せて、噴水の前のベンチで、スプーンでそぼろを掬っていた。
 食堂の方角から出てきたらしい主治医がいきなり私の足元に現れ、ただぽつりと言った。
「残念だけど、あなたのお腹に赤ちゃんを宿すのは難しいね」

 
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